夜、十分な睡眠をとったにもかかわらず、昼過ぎに強い眠気に襲われることがあります。そんなとき、5~10分ほどうとうとしただけで、すっきりしたという経験は誰でも持っているのではないでしょうか。
ところが、それとは逆に、休日などに日中1~2時間ほども寝てしまい、目覚めたときに気分が悪く、眠らなければよかったと後悔することもあるでしょう。
これは、目覚めてもまだ睡眠が続いているような身体状況になっているからです。
これは、「睡眠慣性」と呼ばれています。
また、昼寝をすると夜眠れなくなり、結果的に翌朝起きられなくなることもあります。
このように、昼寝をとることで眠気が改善される場合もあれば、かえって逆効果になる場合もあるのです。
眠りには「ステージ」があります。入眠後、ほどなくして、うとうとした状態であるノンレム睡眠ステージ1に入ります。そして、眠りはじめてから5~10分程度でステージ2に達し、20分を経過するとステージ3、約30分を経過すると、もっとも眠りが深いステージ4に達します。
このステージ3と4のときに脳波を調べると、徐波という大きく緩やかな波形が観察できます。
この徐波睡眠が出現するまでの時間は、その人ごとにほぼ決まっていますが、日中でも30分以上昼寝をすると、徐波睡眠まで達してしまい、夜間の徐波睡眠時聞が短くなってしまいます。
つまり、夜の眠りの質が悪くなるのです。
ですから、「昼寝は30分以内」にしたほうがいいということができます。
理想をいえば、15分程度の昼寝でも十分に効果がありますので、15分から20分程度、昼食後に昼寝をするといった方法がおすすめです。
仮にそれでもまだ眠いという場合は、我慢して夜に十分に寝ることです。そうすれば睡眠のリズムを崩さずにすみます。
ルネサンスの三大巨匠の一人レオナルド・ダ・ヴインチは4時間ごとに15分の昼寝をして、いつもクリアな精神状態を保っていたと言われています。
また、『朝鮮日報』の記事によると、お隣の韓国では会社員の二人に一人が昼寝をし、その平均時間が16分程度ということです。
さらにフランスでは、「健康と生産性向上のために効果がある」として、政府が企業に昼寝を奨励しているようです。
これらの習慣は、睡眠の専門家から見ても良い習慣とのことですから、わが国も見習いたいものです。
ここで、昼寝の後すっきりと目覚めるためのテクニックを紹介しておきましょう。
まず、すっきり目覚めるには「昼寝する前にコーヒーを飲む」のが効果的です。
「カフェインをとってしまうので眠れなくなる」と心配する人もいるかもしれませんが、心配いりません。
コーヒーを飲んだ後、血中のカフェイン濃度がもっとも高くなるのは日15分~200分後です。
つまり、短い昼寝をとる直前にコーヒーを飲んでおけば、起床直後にカフェインの効果が現れ、すっきりと目覚められるというわけです。
また、目覚めたらすぐに屋上や外に出て、太陽光を身体いっぱいに浴びるのもいいでしょう。また、冷たい水で顔を洗ってもいいでしょう。